こころドンマイDon't mind
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会えてよかった命の重さ
 元気でいるんだろうか?と、思っていた人が、もうこの世の人では
なくなっていたという話。
 彼は(仮にKさんと呼んでおこう)私と同級生。とはいっても、大阪と
岡山に離れていて、学び舎(まなびやと、読みます。響きが好き)
が同じだったわけでもなく、会ったのも数回だけ。
ある同好会で、意気投合し、彼はパソコンや携帯メールが苦手だった
ので、話はもっぱら電話でしていた。
 私は、当時、田舎暮らしに憧れていて、しょっちゅう 田舎の物件を
見て歩いていた。そこで、知り合ったのだ。
 彼は開業医。父親の出身が岡山で、小学3年生までは岡山で育って
いたらしく、結構 岡山弁がうまかった。逆に私は、関西圏で仕事を
していた時期があって、片言の関西弁ができた。
 彼の使う岡山弁が好きになれなくて、『関西弁で話してんか』と
お願いして以来、私の耳は関西弁の柔らかな雰囲気に魅了されて
いった。彼が関東弁やったら(あ、つこてますぅ)少し距離ができて
たかもしれへんな。
 
 はじめ、彼はなんの仕事をしているか、なかなか教えてくれなかった。
イリョウカンケイとだけ聞いて、アパレルかな?と、勝手に想像を
膨らませていた。今にして思うと、開業医という肩書きだけで、近づいて
くる輩に、迷惑を蒙った経験からなのだと思う。
 詳しくは、聞いていないが、彼が転職を決めてから、離れていった
人間も少なくはなかったようだ。
 彼は、いろんな事情から、医師を辞めた。自分の夢をかなえるために
その病院は、後輩に譲ったのだ。
 私は、そこまでのことは聞かされていた。
『たった一度の人生なんだから、思うように生きてね』とエールを
送った。
 彼の夢と、私の夢は共通の部分をたくさん持っていた。
半自農自給で、動物と共に暮らし、訪れてくれる客人に、精一杯の
おもてなしをする空間をつくりたい。およそ、10年位前は、そんな
ペンションを持つことが田舎暮らしのスティシャスでもあった。
彼と、夢物語をしていた、その時、確かに言ったのだ。
確かに聞いたのだ。
 振り向いたら いなくなってたなんてことが ないようになぁ〜
と。
 嬉しかった。ずっと、そばにいてもOKなんや。もしかすると、一緒に
夢を見れるんや。そして、いつか、それも ふたりで叶えることが
できるんと違うかな〜 そんな風に感じていた。
 彼は、私と出会う前に失恋をしていた。結婚まで考えていた女性と
別れていた。その彼女と私が、よく似ていたらしい。
少し勝気で、一本気で、自由で、強引で、ひとりが好きで、甘えるのが
下手で、ファザコンまで同じだった。
 が、明らかに違っていたのは、彼女は彼よりも20歳も下で、まだ
大学生だったということだ。
 彼は、未完成なものに魅力を感じると言った。
自分で育て上げてみたい衝動にかられるのだとも言った。
 そして、彼女は、もう育った。自分の手を離れて自由に生きてほしい
のだと話してくれた。
 驚きだった。こういう恋愛もあるのだと思った。
相手の無限な能力を信じて、送り出したのだ。
自分が独り占めしてはいけない、彼女の力を見抜いたのだ。
 彼は、もう この世にはいないけれど、彼が育てた彼女が、
芸術家としてどこかで、素敵な作品を生み出していることを
願いながら・・・・彼に、友だちでいてくれて ありがとう。
2006/3/22 記